【決算書から見た適正在庫とは】
在庫を適正にする事の意味は、大きく2つの理由があります。
① 在庫が過剰になると手元資金が商品に変わりますので資金繰りが悪化してしまう事。
② 一度在庫が滞留してしまうと、そのまま販売出来ない事が多いです。

財務諸表上は商品として資産で計上されますが、その後に売れなかった場合には原価分がそのまま損失に繋がる事。

まずは財務諸表で在庫の量を算定しましょう。
A (期首棚卸高+期末棚卸高)÷2=期中平均在庫金額 
B 年間売上高÷12=1月あたりの売上高 A÷B=○.○

数字の意味
期中平均在庫金額が売上何ヵ月分相当あるのか分かります。可能であれば、商品分類別に上記金額を算出するとより数字が見えやすくなります。
数字が出たら、3つの視点で適正かどうかを見てみましょう。

① その会社における商品を発注してから納品・販売できるようになるまでにどれくらいの期間がかかるのか考えてみましょう。 →発注して納品・販売まで3日で届くのであれば極端な話、1週間分の在庫が確保出来ていれば十分なのではないか。

② 店頭に最低限用意しておくべき商品は、いくらなのか考えてみましょう。 →どんな企業を目指しているのかを再確認する必要があります。値段で勝負するのか、ラインナップの豊富さで勝負するのか、その他のサービスで勝負するのかなど、競合に勝つための方向がなければ、商品を削ることはできません。もう一度、商品を見直してみましょう。

③ 日々の在庫の状況を確認しましょう。欠品しそうな商品又は欠品があるのか考えてみましょう。 →欠品の事実がないのであれば、過剰在庫になっている可能性は高くなります。2:8の法則(パレートの法則)にあるように、全体の8割は重要な2割のものからなっている。売上の8割は2割の商品で占めている事が多いです。重要商品とその他の商品に分類して重要商品を中心に管理する方法もあると思います。

 適正在庫の数値は、中小企業においては、在庫の管理や発注について今までのやり方をそのまま踏襲している事が多く、気が付いたら過剰在庫になってしまっていたという事も多いかと思います。在庫の量を数値化する事によって、現状の数値化・目標値の設定が可能になります。また、「必要以上に在庫を持たないように意識する」・「発注方法や発注単位・発注のタイミング」を振り返る事が中小企業においてはとても大切な事であり、利益を出せる企業になるための一歩であると思います。