相続には予想していない事態に見舞われることがあります。

 

 例えば、ご主人と奥様の間にお子さんが男性A・B・Cと3人居たとします。
それぞれ社会人になり皆さん自立しました。

その内の一人Aさんはお嫁さんの意見が強く、
孫ができてもお嫁さんの実家に行くばかりでこちらの両親にはほとんど顔を見せません。
孫を連れてきてみんなで楽しく過ごすなら、
親として何らかの手助けをしてやろうと思っていましたがなかなか実現しませんでした。

 そうこうする内にAさんは若くして病死してしまい、ますます疎遠になりました。

 最近、ご主人が亡くなり、奥様の老後のことを考えて財産のほとんどを奥様が相続しました。
次に奥様の相続になった場合を想像すると、
B・Cさんは日頃から親しくしており問題はないのですが、
疎遠になっているAさんの子供にも相続の権利が発生し、
何もしなければ相続人全員で遺産分割協議書を作成しなければなりません。


 日頃、まったく話したことのない人を含めて合意することは困難を伴います。

困難だからと言って合意できなければ、預金の引出もできません。

こんなことにならないために、遺言公正証書による遺産分割協議書を作成することをお勧めします。

 奥様の意思で相続財産をそれぞれB・Cさんに相続することを遺言しておけば、
その公正証書によって遺言が執行できるため、
相続になった場合B・Cさんは預金であればそれぞれの預金を受取ることができますし、
土地・建物の不動産であれば名義変更することができます。

もらわなかったCさんのお孫さんにも法律上の相続権はありますので、
1年以内に遺留権の請求と言うことになります。
遺留権の請求が無ければそれで終わりです。


 被相続人のご意思が尊重されることになりました。