相続対策の一つとして、自分の所有する空地にアパートを建てることを勧められます。確かに、計画通りにことが進めば節税になります。しかし、計画通りにいかない場合もあります。それは相続発生の時点で、どのような状況になっているかにかかっています。

  仮に、新松戸で100坪の土地にアパート1棟を建設したとしましょう。土地は路線価で6,600万円、建築費6,000万円(全額借入金)とします。

アパートを建設した当初の評価

土地の評価:貸家建付地の評価

自用地とした場合の価格-(自用地とした場合の価格×借地権割合×借家権割合×入居率α)

  6,600万円-(6,600万円×0.6×0.3×α)=アパートの土地の評価5,412万円

 

建物の評価:固定資産税評価から評価減

固定資産税評価-(固定資産税評価×借家権割合×入居率α)

  4,800万円-(4,800万円×0.3×α)=アパートの建物の評価3,360万円

 

アパートを建設した場合      アパートを建設しなかった場合
土地の評価  5,412万円      土地の評価  6,600万円

建物の評価  3,360万円 

借入金  △ 6,000万円

合計     2,772万円

 

 結果的に、相続財産が6,600万円から2,772万円に減少したことが分かります。しかし、将来空室が発生し、入居者が見つからない場合は、上記の入居率が減少するので、相続財産の評価は増加することになります。最終的には建物の撤去費用も発生します。

 さらに、空室になれば家賃収入は減少しますが、固定資産税は入居に関係なくかかってきます。借入金の返済も同様です。建物の維持のため修繕費もかかります。

 アパート経営で一番大切なことは、できる限り空室をなくすることです。入居者が退居した時は、部屋をきれいにするだけでなく、バス・トイレの改修が望まれます。また庭を除草し、住みよい環境を維持することが大切です。余裕のある経営者は、常にこうしたことを考え、先をみています

月刊新松戸11月号掲載